フライ (fly)

on the fly  大急ぎで

Let’s eat something on the fly.

(大急ぎで何か食べよう)

「フライ」を知らない日本人はいないが、この単語が持つ意味を並べ始めたら明日の朝になっても終わらない。「大急ぎ」を意味するこのon the flyだって文脈によっては「出たとこ勝負」にもなるし「いま飛行機で飛んでいる最中」にもなる。

意味が多様であることは、その単語を使った慣用句の数もそれだけ増える。たとえばfly high(高く飛ぶ)は「大喜びする」とか「万事OK」のことだが、fly low(低く飛ぶ)と逆を行けば、同じ慣用句でもズボンのジッパーが下りていることを意味する。Excuse me, but you seem to be flying low.(失礼だが、あなたは低く飛んでるようだ)と言えば「あんさん、社会の窓が開いてまっせ」ということだ。fly-by-night(夜に飛ぶ)なら今にも夜逃げしそうな「うさん臭い会社や人」のことになる。

キリがないから今日のところはon the flyだけに話を絞りたい。高く上がったフライが落ちてくる前に急いで何かをやったり考えたりすることだと想像すれば、覚えるのが簡単だ。

A: Why is this new law so full of holes?

B: I think that’s because it’s been made on the fly.

A: なんでこの新しい法律はこう抜け穴だらけなの?

B: 大急ぎで作ったからだろうと思います

おまけ

複数形ではfliesになるflyには他にも「ハエ」の意味がある。fly on the wallは「壁にとまったハエ」のことだが、転じて「人のやることを盗み見したり盗み聞きする」ことを意味するイディオムにもなる。テレビなどの密着ドキュメント番組はa fly-on-the-wall programである。。

大リーグ球場の今昔を語る写真集を眺めていたら、1910年代のエベッツ球場(ブルックリン)の写真があった。外野フェンスの広告にこう見える:「去年〇×選手は400個のfliesを捕りました。去年当社のハエ取り紙は1,000万匹のfliesを捕まえました」。まだハエ取り紙なるものが存在していたころの話である。

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